お客様のクレームは、会社へのクレーム。あなたへのクレームではありません。だから「会社が怒られてる」と言う気持ちで聴く

クレーム対応担当者にとって最も恐怖なのは、お客様が怒ることですよね。
怒りが高まって、大きな声でクレームを言う人、感情的にクレームを言う人、攻撃的な言葉でクレームを言う人、恫喝的な態度でクレームを言う人が代表的な怖いお客様のタイプですが、この頃は、感情を表さずにクレームを言う人の、本音が見えない態度。

知的な雰囲気を持った話し方の人に感じる、太刀打ちできそうにない頑固な印象。

理論武装が猛々しい、偏屈そうな性格の持ち主であることを感じる態度なども、なぜか担当者にとっては、背筋が凍るような恐怖を感じるパターンです。

それにしても、なぜ、これらのお客様に恐怖感を持ってしまうのでしょうね。クレーム対応担当者は。

深い意味がないまま、その場の荒々しい雰囲気に気持ちが冷静ではなくなるということはもちろんあるのでしょう。私の経験上、何回、経験しても、怖いと感じる場面です。

でも、これが電話対応ならば、身体的に暴力を与えられることはありませんし、相手に不満を与えたのは、単なるクレーム対応担当者の自分ではないのに、電話で怒られながらクレームを聞いている間、自分の心をわしづかみにされ、にぎりつぶされるかのようなこれまで経験した覚えのない恐怖が伴う時間になります。

そして、少しでもこの時間が早く終わることを切望するあまり、「もうしわけございません」「もうしわけございません」とまるで、下位者が上位者に土下座をして許しを請うような場面が続くのです。

そして、お客様の感情が高まり、それに伴って担当者の心の疲弊が過剰に高まることになるわけですが、そうなったのには、理由があるんです。。

その理由は、担当者がこのクレームは自分が悪いと錯覚していたり、自分が悪いという体で対応しなければならないと勘違いしていることです。

つまり、このクレームの原因が、今の時点ではっきりしなくても、今の時点ではっきり言えることは、『クレームの張本人は担当者の自分ではない』ということ。

張本人ではない人が、何度も何度も謝る必要はないのです。お客様も、張本人ではない担当者が「申し訳ございません」と言っておけば、許してもらえると思っている軽率な態度にイラつき、さらに感情を高めてしまうのです。

もっともこの場面での担当者は、「申し訳ございません」と言っておけば許してもらえると思う気持ちが半分と、ただただとりとめもなく「申し訳ございません」と口をついて出てしまうのが半分と言うのが正直なところでしょう。だって、怖いですからね。

だから、担当者がお客様を感情的にしてしまったということも言えるでしょうね。

じゃあ、どうしたらいいのか。何を言ったらいいのか。ですが、その前に、担当者として、そもそもお客様が連絡をしてきたクレームは、あなたへのクレームではなく、会社へのクレームですから、自分が原因の張本人であるかのような意識で対応しないことです。クレーム対応担当者は、単なる『クレーム受付担当者』であり、会社から指示されている、言うべきこととやるべきことをやるだけの人です。

担当者独自の対応でお客様を感動させようなどと考えてはいけないし、また、お客様に失礼だと感じさせる対応もしてはいけない。そのためには、決まった言葉と手順を使って対応する係なのだと、それが役割の担当者なのだと自覚をすることです。

つまり、お客様が怒りの感情が抑えられずクレームを言い続けている相手は、クレーく対応担当のあなたではなく、会社なのです。だから、「会社のやり方にご不満があるんだ」「会社が作った製品にご不満があるんだ」「会社に対してすごく怒りを持っていらっしゃるお客様だ」と、客観的な気持ちで、その怒りの高まったクレームを聞くことが担当者のやらなければならないことです。そして、最後に「お客様のきょうのお声を、会社のしかるべき部門に必ず伝えます」と言うのが、担当者の言うべきこと、やるべきことです。

『お客様は、会社にクレームを連絡する』『担当者は、お客様の会社へのクレームを受け付ける』この両者のスタンスが適正なスタンスであることを知っておいてほしいのです。だから、軽々しく何度も何度も「申し訳ございません」を言うことは好ましいことではありません。

じゃあ、具体的にどう言えばいいのかというと「はあ・・」「そうですか・・・」「おはずかしいことで・・」「ええ・・」「それは失礼しました・・・」などのぼんやりとした相づちを打って、お客様のお話を聞く態度が必要です。こういう場合のさらなるトークの返し方については、この解説の回数を重ねていく中で、また、提示していきますね。

今日のまとめとしては、クレーム対応担当者のあなたは、会社へのクレームを受け付ける係であり、クレームを発生させた張本人ではないので、張本人の責任をかぶる正義の人みたいな態度をとるのはやめましょうね。お客様はあなたがクレームの原因を作った張本人ではないことわかっていますから。担当者のあなたは、お客様のきょうのお声を、会社のしかるべき部門に必ず伝えることが、この時の役割です。